40代会社員が知っておくべき副業の税金知識:確定申告は必要?経費はどこまで?
はじめに:副業と税金、多忙な40代会社員が知っておくべきこと
本業を持ちながら副業で収入を得ることは、経済的な安定や自己成長につながる有効な手段です。しかし、副業によって収入が発生した場合、避けて通れないのが税金の問題です。特に多忙な40代会社員の方々にとっては、税金に関する知識の習得や手続きに時間を割くことが難しいと感じるかもしれません。
税金の知識がないまま副業を進めると、知らず知らずのうちに申告漏れが生じたり、本来なら支払う必要のない税金を支払ってしまったりする可能性があります。副業を安心して続けるためには、税金に関する基本的な知識を身につけておくことが大切です。
この記事では、40代会社員の方が副業で収入を得た際に知っておくべき税金の基礎知識について、確定申告が必要となる基準や、経費として認められるものなどを分かりやすく解説します。
副業で収入を得たら税金はどうなるのか
会社員の方は、通常、毎月の給料から所得税や住民税が天引きされ(源泉徴収)、年末には会社が年末調整を行って税金の精算をしてくれます。しかし、副業で本業以外の収入を得た場合、その副業収入についても税金がかかります。
税金の計算においては、収入から必要経費を差し引いた「所得」に対して税率がかかります。副業で得た収入の種類によって、税務上の「所得区分」が異なります。一般的に、会社員が行う副業の多くは「雑所得」または「事業所得」に区分されます。
- 雑所得(ざつしょとく): 主に、特定の所得区分に当てはまらない所得を指します。フリマアプリでの不用品販売による一定額以上の利益、講演料、原稿料、副業ライターやWebデザイナー、コンサルタントとしての収入などがこれに該当することが多いです。規模が小さく、継続性や反復性が低い場合は雑所得となる傾向があります。
- 事業所得(じぎょうしょとく): 事業として継続的かつ反復的に行われる活動から生じる所得です。副業であっても、その活動が社会通念上の事業と認められる規模や継続性を持つ場合は、事業所得となることがあります。事業所得として申告するためには、税務署へ開業届を提出するのが一般的です。
ご自身の副業収入がどちらに該当するかは、活動内容や規模、継続性などによって判断が分かれる場合があります。
確定申告は必要?いくらから?
会社員の場合、副業で得た所得が一定額を超えると、原則としてご自身で確定申告を行う必要があります。これは、会社が行う年末調整は、あくまでその会社からの給与所得に対するものだからです。
確定申告が必要となる副業所得の基準は、以下の通りです。
- 給与所得以外の所得の合計額が年間20万円を超える場合
ここで言う「所得」とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。「収入」そのものではなく、「所得」が20万円を超えるかどうかが判断基準となります。
例えば、副業収入が30万円あっても、それにかかった経費が15万円であれば、所得は15万円(30万円 - 15万円)となり、20万円以下であるため原則として確定申告は不要です。
ただし、これは所得税に関する基準であり、住民税の申告は別途必要となる場合があります。住民税については、副業による所得がいくらであっても申告が必要となるケースがありますので、お住まいの市区町村にご確認ください。
確定申告の対象となる所得を計算してみる
副業で得た収入が雑所得または事業所得の場合、所得の計算式はシンプルです。
収入金額 - 必要経費 = 所得金額
例えば、Webライターの副業で年間に50万円の報酬(収入金額)を得たとします。この副業を行う上で、パソコンの購入費用(副業に使用する割合分)、インターネット通信費、電気代(副業に使用する割合分)、書籍購入費などがかかっているとします。これらの必要経費の合計が10万円だった場合、所得金額は40万円(50万円 - 10万円)となります。この所得金額が20万円を超えているため、確定申告が必要になります。
ご自身の副業収入から経費を差し引いた所得がいくらになるのかを把握することが、確定申告が必要かどうかを判断する上で最初のステップとなります。
知っておきたい経費の話
税金計算において、収入から差し引くことができる必要経費は非常に重要です。適切に経費を計上することで、所得金額が減り、結果として納める税金が少なくなります。
副業の経費として認められるのは、「副業による収入を得るために直接かかった費用」です。具体的な経費の例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 通信費: インターネット回線使用料、スマートフォンの通信費(副業に使用した分)
- 水道光熱費: 自宅を副業の拠点としている場合の電気代、ガス代、水道代(副業に使用した割合分)
- 消耗品費: 文房具、インク、用紙など
- 地代家賃: 自宅の一部を仕事場として使用している場合の家賃(副業に使用した割合分)
- 旅費交通費: 取引先との打ち合わせや、副業関連のセミナー参加のための交通費
- 図書研究費: 副業に必要な書籍や資料の購入費
- 研修費: 副業スキル向上のためのセミナー参加費、教材費
- 減価償却費: パソコン、プリンター、ソフトウェアなど、比較的高額な備品(耐用年数に応じて複数年に分けて経費計上)
経費として計上するためには、領収書やレシートなどを保管しておくことが必須です。これらの証拠書類がないと、税務署から認められない可能性があります。また、プライベートと共有している費用(自宅の家賃や通信費など)については、副業に使用した割合分のみを経費として計上します。この割合は、仕事に使用した時間やスペースの割合など、合理的な根拠に基づいて計算する必要があります。
確定申告の具体的な手続き
確定申告は、通常、その年の翌年の2月16日から3月15日までに行います。多忙な会社員にとって、確定申告の手続きは負担に感じるかもしれません。手続きを効率的に行うための方法をいくつかご紹介します。
- 会計ソフトの活用: 副業収入や経費を日々記録するのに役立ちます。確定申告書類の作成機能があるソフトを選べば、申告書作成の作業を大幅に効率化できます。クラウド型の会計ソフトであれば、インターネット環境があればどこからでもアクセスできるため便利です。
- e-Taxでの申告: 国税庁のe-Taxシステムを利用すれば、自宅からインターネット経由で確定申告を行うことができます。税務署に足を運ぶ必要がなく、添付書類の一部を省略できるなどのメリットがあります。マイナンバーカード方式やID・パスワード方式などの利用方法があります。
- 税務署の相談窓口: 確定申告期間中は、税務署に相談窓口が設けられます。予約が必要な場合が多いですが、不明な点を直接職員に質問することができます。
- 税理士への依頼: 副業収入が大きい場合や、経費の種類が多く計算が複雑な場合、またはご自身で手続きをする時間がない場合は、税理士に確定申告の手続きを代行してもらうことも検討できます。費用はかかりますが、正確な申告ができる安心感があります。
日頃から収入と経費を記録しておくことが、確定申告の時期に慌てないための最も重要なポイントです。
税金以外に注意すること:住民税や社会保険
所得税の確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要となる場合があります。住民税は、前年の所得に対して課税されるため、副業による所得がある場合は、自治体への申告が必要になることがあります。確定申告を行えば、税務署から自治体へ情報が連携されるため別途の住民税申告は不要となります。
また、副業による所得が増えると、社会保険(健康保険や年金)の扶養に関する規定に影響が出る可能性や、国民健康保険料や国民年金保険料が変わる可能性もゼロではありません。本業の会社の給与以外からの収入が年間で一定額を超えた場合などに影響が出ることがあります。これらの詳細については、ご自身の会社の規定や、加入している健康保険組合、市区町村の窓口にご確認ください。
まとめ:税金知識を味方につけて、安心して副業を続けましょう
多忙な40代会社員にとって、副業の税金に関する知識を身につけることは、安心して副業を続けるために非常に重要です。確定申告が必要となる基準や、経費として認められるものの考え方を理解しておくことで、適切に税金を計算し、申告することができます。
- 副業収入から必要経費を差し引いた所得が年間20万円を超えるかを確認しましょう。
- 副業に関する収入と経費の記録を日頃からつけておくことが大切です。領収書などの書類は必ず保管してください。
- 確定申告が必要な場合は、e-Taxや会計ソフトなどを活用して効率的に手続きを進める方法があります。
税金に関するルールは改正されることもありますので、常に最新の情報を確認するように心がけてください。ご自身の状況に合わせて、必要であれば税務署や税理士などの専門家にも相談し、税金に関する不安を解消して、副業にしっかりと取り組んでいきましょう。